「「いっえぇぇ~~いっ!」」
ぱぁぁぁぁんっ!
ハイタッチの気持ちの良い音が響く。
「二人がそんなに意気投合してるのって、本当珍しいよね」
その二人、真人と謙吾を見て理樹が呟いた。
「恭介に勝ったぞぉぉぉっ!」
「これで理樹は俺達のものだぁぁぁっ!」
「えっ!? いつの間にそんな約束してたのさっ!?」
大盛り上がりな二人には、理樹のつっこみも届いていない。
秋生と朋也のあまり意味の無いラストバトルは、両者体力切れで終わった。
渚が倒れこんだ朋也を介抱する為に膝枕をするが…その瞬間、泥棒チームは全員捕縛という事に。
結果、刑事チームの勝利でゲームは終了した。
「…残念なの」
「すまないことみ君、私も行動を起こすタイミングをもう少し早めておけば…」
「ううん、その状況なら仕方が無いの。 遊撃部隊からの援軍が間に合った事自体が作戦のミスなの」
ことみと来ヶ谷がお互いを慰め合っていた。
かなり冒険的ではあったが、反攻作戦にはそれなりの自信があったのだろう。
「ウンウン、二人ともめげないめげないっ! はるちんは二人の頑張りをしっかり心に刻んでますヨ!」
「……さて、葉留佳君」
「やは?」
葉留佳の頬に手を副えて、来ヶ谷が怪しい気配を醸し出す。
「フェイズ1開始前に偶出会えた時の事を覚えているかね?」
「勿論ですヨっ」
「トランシーバーを渡しながら説明をした筈だ……。 君の行動で勝敗が左右されると」
「頑張って最後を盛り上げたよっ! いや~、周りに気付かれず木に登るのは大変でしたヨ」
「盛り上げ……?」
「惜しかったですネ! あそこで空中合体していたら、ガシーンッ!ババーンッ!ドガーンッ! って……姉御…?」
「どがーん……か…。 はっはっは……。 葉留佳君は面白いな」
来ヶ谷の声に抑揚が無い。
「いや…はや……、えと、はるちんはこの辺りで…」
「さて、この先は今夜おねーさんの部屋で続けようか。 なに、君は下着だけ用意しておいてくれればかまわないさ」
「何事っ!? はるちんのぴんち度絶好調っ!?」
かなり大変な会話が続いていたが、
「???」
ことみの反応はいつも通りだった。
「風子、敗北ですっ!」
「わかった、わかったからこっちに来なさい。 ほら、こんなに葉っぱをつけて…」
ちょこまかと動きながら、風子は佳奈多の周りではしゃいでいる。
そんな風子の世話をしている佳奈多。
「はい、これで綺麗になったわ」
「んん~~っ! 風子、この借りはいつか必ず返しますっ! りぞんべですっ!」
「り…? 何?」
「りぞんべっ!」
「リベンジね…」
「? どこの言葉ですかそれは?」
「あのね…。 どこでそんな言葉を覚えるの?」
風子は向こうにいる春原を指差して、
「あそこにいる頭が変な人に教わりましたっ」
「…はぁ…… …いい風子? 今度、一緒に勉強をしましょう。 色々と教えてあげるわ」
「お勉強会ですかっ!? 大変ですっ! 予期せぬ好感度イベントが発生しましたっ!?」
はたして風子はこういった知識を一体どこから手に入れているのであろうか?
「やっぱあんたも、その気になるとすげぇよな?」
「勘弁してくれ…」
「祐くん、頑張ってましたよねっ」
「みなさんお疲れ様でしたっ」
両チームのメンバーが各々友人知人と談笑している中、大人達は大人達で集まっていた。
秋生は煙草に火をつけたまま芝生に座り込み、芳野はペットボトルのミネラルウォーターを飲んでいる。
女性陣はそれぞれ自分の夫の横に控えていた。
「終わってみれば、意外と早かったな」
ふぅ~っと煙を吐きながら公園の時計を探す秋生。
「丁度、午後一時半ですね」
公子が腕時計を見ながら答える。
「まだそんな時間か…」
「芳野さん達、もうおにぎりは食べてしまいましたか?」
「いえ、正直それどころでは無かったですよ」
芳野は苦笑しながら答えた。
「筋肉コンビに随分追われてましたから…」
「筋肉……ですか?」
早苗はよく理解出来ていなかったが、
「はっはっ! あいつらかっ! そりゃホントにお疲れさんだなっ!」
秋生は合点がいったのか、声を出して笑った。
「とても貴重な体験をさせていただきましたっ」
「そうですかっ、よかったですねっ!」
「はいっ!」
「「……」」
夫達とは違い、妻達は強かった……
「折角ですからこの芝生でご飯にしませんか? もちろんみなさん全員でっ」
「…流石早苗だ、完っ璧じゃねえかよそのアイディアっ!」
少しだけ遅い昼食。
ピクニックとも思える雰囲気の中、敗者に対しての罰?ゲームの内容が言い渡された。
それは、罰と言うよりも……