「よっしゃーーーーっ! 理樹とおんなじチームだぜーーっ!」

「ふ、ふは、ふははははっ! ふはははははははははははっ! 正に俺と理樹は親友ということだなっ!」

 理樹と同じチームとなった真人と謙吾。

 二人のテンションは、ゲームを始める前から上限知らずの大解放だった。

 

「恭介……」

 そんな二人とは対照的に、理樹の表情は少し暗かった。

「そんな顔するなよ理樹。 敵と味方に別れる親友達、これはこれで面白くなりそうだぜ?」

 旧リトルバスターズの五人は棗兄妹と男三人で分かれた。

 こういったイベントでの分散は始めての経験だったので、若干思い悩むが、

「うん…。 うん、そうだね。 恭介、敵味方になっちゃったけど、本気でいくからね?」

 恭介の言葉を理解し、前向きに楽しむ事に決めた。

CLANALI2  第十九話

「最悪ですっ! ぷち最悪ですっ! 渚さんや佳奈多さんとは別なのに、なんで岡崎さんが同じなんですかっ!」

「お前の言葉の方が最悪だからな風子?」

「お姉ちゃんやユウスケさんの足を引っ張らないようにして下さいね? いいですかっ?」

「なんで叱られてるんだ、俺?」

「まったく。 岡崎さんを一人にしておくと心配です。 仕方が無いから一緒にいてあげます」

「なんで上から目線なんだ?」

 

 

 メンバーは次々と決まっていった。

 チーム決め自体は、秋生と恭介のじゃんけんで…というありきたりな始まりだったのだが、

 勝った方が二人ずつ自分チームのメンバーを選んでいく、という方式にした為に…

「よしっ! まずは直枝、二木。 お前らは俺様の手下その1その2な」

 初戦で勝った秋生が一番に理樹を指名してから、選手選抜は混沌とした様相を呈していった。

 

 続いて恭介の番では…

「岡崎、杏。 ケイドロバスターズの入隊を許可する」

「なんだそりゃ?」

「センス無いわねぇ~」

 

 もう一度秋生…

「井ノ原に能美。 筋肉その3とわんこその4だ」

「おっさんナイスだぜっ!」

「ちとーり! なのです~っ!」

 

 再び恭介…

「鈴、伊吹。 …呼んだだけだ」

「あほかっ!」

「この人も大変失礼な人ですっ!」

 

 出だしからしてこのペースだったので、全員確定するまでの間、一人一回はつっこみを入れていた。

 

 

 

 

「結局なんとも言い難いチーム編成になったな…」

「アンタが選んだんでしょうが…」

 チーム分けの後、泥棒チームの恭介と杏がメンバーの確認をしていた。

「ええと…」

「はい、さらっとだけど紙に書いたわよ」

「お! サンキュー杏」

「いいからさっさと確認して作戦を考える!」

「ああ、そうだな」

 そのメモ帳には人物名だけだが両チームの構成メンバーが書かれていた。

 

 

 ──泥棒チーム──

 恭介

 妹さん

 あたし

 朋也

 ことみ

 芳野夫妻+風子

 神北さん

 三枝さん

 来ヶ谷さん

 

 計11人

 

 ──警察チーム──

 渚のお父さん

 渚

 早苗さん

 直枝

 馬鹿(筋肉)

 馬鹿(剣道)

 二木さん

 西園さん

 ささせがわさん

 能美さん

 智代

 馬鹿(ヘタレ)

 

 計12人

 

 

 

「……なぁ杏?」

「なによ?」

「この三人、名前で書いてやれよ…」

「やーよ、めんどい」

「…まぁ人物は簡単に特定できるからいいんだけどな…」

「はいはい、それより作戦作戦」

 

 

 

 一方、警察チームからそんな二人を見ている人物がいた。

「…」

「あれ? 二木さん、どうかした?」

「…」

 

 その視線の先にいる二人は、なにやら小さな手帳を覗き込んで話し合いをしているようだった。

 特におかしな点は無い筈だ。

 ……顔が随分と近い、という一点以外は。

 

「直枝理樹」

「何?」

「あの二人は…」

「恭介と藤林さんの事?」

「…なんでもない」

「え? 何か言いかけなかった今?」

「作戦を練るのでしょう? ほら、古河さんのところへ行くわよ」

「ちょっと? 二木さん?」

「いいから来なさいっ」

 

 

 この瞬間、佳奈多の闘争心に何かが灯った……

 彼女自身も気が付いていなかった、小さな何かが。

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