「こっちだこっち! 久々だなガキンチョ共っ!」

 公園に到着した秋生は恭介達を発見し、大声で呼びかけた。

「古河さんもお元気そうで!」

 応じるように恭介が声を張り上げる。

「ったり前だろ? 俺様からかっこよさを取ったら何が残るってんだ!」

 誰もそんな話題は振っていない。

 

 

 集合したメンバーは、双方合わせて総勢23人。

 はっきり言って大所帯だ。

 新規のメンバーもいたが、既知・初見に関係無く最初に飛び出してきたのは… 

 

 

「佳奈多さんがいますっ! 風子、びっくりサプライズですっ!」

 

 

 その小さな人影は、一目散に佳奈多の元へと駆け寄って行った。

CLANALI2  第十五話

「ちょっと風子っ」

「うう~~んっ! 一週間ぶりの佳奈多さんですっ!」

 風子は佳奈多に抱きつき、幸せを噛み締めている。

 とは言え佳奈多も無理に振りほどく事は出来ず、風子の成すがままにされていた。

 

「おー。 お姉ちゃんが別人みたいですヨー」

「わふーっ! わたしも混ぜてくださいっ!」

「っと!? クドリャフカっ!」

 クドは、わふー、という効果音(?)と共に、空いている佳奈多の背中へと飛びついた。

 

 

「……これは予想外だな少年」

「うん、この目で見るまで信じられなかったけど…」

 来ヶ谷と理樹はその光景を見て、溜息混じりに感想を洩らす。

「二木君が…」

「二木さんが…」

「ぺったんこサンドイッチを編み出すとは」

「ぺったんこ…ってえええっ!? なにそれっ!? 来ヶ谷さんっ?」

「む? 見ての通りだぞ? 『ろりぷに』による前後同時抱擁(しかも受け)の事だが?」

「そんな新出単語を『何を言っているのだね少年は?』みたいに語らないでよっ!」

「…それは、ぐへへ、僕もそのサンドイッチの具になりたいなぁ…という意味かね?」

「違うよっ! 恭介じゃないんだからっ!」

 濡れ衣をかけられそうになった理樹は、ついつい自分の中にあった『ろり好き=恭介』という

 スケープゴートを言い放ってしまった。

「少年っそれはっ!」

「え?」

 来ヶ谷が理樹の意見を押し止める前に、その一言を聞きつけてしまった人物が一人……

「ふ~~ん、そうなんだ~~♪」

 えらく明るい声とは裏腹に、ものすごいプレッシャーを発して笑顔を見せる。

「……おねーさんは知らないからな? 少年」

「ふ、ふじばやし…きょう、さん?」

「…」

「「…」」

「……あはっ♪」

 その笑顔が怖い。

「「……」」

「さてと、恭介~♪」

「ん? どうした杏?」

 自分の名前を呼ばれ、恭介が理樹達に振り返る。

「違うから違うから違うからっ!」

 必死に杏を止める理樹。

「とりあえず聞いてよっ! それと恭介っ朋也さんが呼んでたよっ! 行ってあげてっ!」

「そうか?」

 理樹の言葉通りに、恭介は朋也の元に向かっていった。

「だからね藤林さん? さっきのは違うからっ」

「何が? ん♪」

「……この迫力、いや、憎悪…か? この類の感情、私とはまた違うな…」

 来ヶ谷はそんな事に感心してる。

「だからさっきのは言葉のあやで、いくら恭介自身がそんな事を言ってたとしても、」

「ふ~ん…言ったんだ、あいつ」

「いやいやいやっ! それこそが僕の…って来ヶ谷さんも頷いてないでさっ!」

「少年…、乗り越えるんだ……この過酷を」

「いやいやいやっ! つっこんでる余裕は無いからね今っ!」

「大丈夫、大丈夫…本人に聞いてくるから」

「ちょっと藤林さんっ!? その手にある国語辞典は何っ!」

 

 …右に左にと、大活躍な理樹だった……

 

 

 

 

「呼んだか? 岡崎」

 恭介は朋也の前にやってきた。

「いや、別に棗を呼んだ覚えは……っとそうそう、またオッサンの思いつきにつき合わせて悪いな」

「なんだよそりゃ? これでも今日を楽しみにしてたんだ。

  俺達は来たくてここに来てるんだからそんな気遣いはいらないさ」

 恭介は言い切る。

 まったく迷いの無い笑顔と共に。

 朋也はその顔を見て少しだけ驚くが、納得だとでも言わんばかりの笑顔で返答する。

「そうだな。 もうお前達に遠慮はいらないか」

「そういうことだ」

 恭介と朋也。

 ただそれだけの交流でお互いに一歩、何かが近づいていた。

 

 

 

 

 

「棗さん×岡崎さん…いえ、ここはあえて朋也さんと呼称しましょう」

「???」

「棗さん×朋也さん……、朋也さん×棗さん……」

「???」

「どちらもありです。 これはなかなかの組み合わせですね…」

「???」

「ご理解頂けましたでしょうか?」

「……とっても、とってもむずかしいの」

 

 西園はことみに対し、『特殊な何か』をレクチャーしていた……

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