「試合をしようぜ!!  相手チーム名は……リトルバスターズだ!!」

CLANALI  第二話

 オッサンがなんか言っている。

 

「おいおい、もっと盛り上がれよ? なんだぁ? そのしけた面はぁ? それでも大宇宙銀河かぁ?」

「顔は生まれつきだ、悪かったな。後、何度も言うが俺は岡崎朋也だオッサン」

「んなこたぁどーでもいいんだよ。で、やんのか? ん?」

「お父さん、朋也くんと公園で野球してくるんですか?」

「あらあら秋生さん、とてもいいですねっ。コズミックさんも頑張って下さいねっ!」

「お母さん、朋也くんです。とても素敵なお名前なんですから、変えては駄目ですっ!」

「だーかーらどーなんだよ! 小僧! やんのか? やんねーのか?」

 

 渚の台詞でオッサンはご機嫌ナナメにシフトした。

 

「やらない。見てのとおりアンタの代わりに店番やってんだ。一人で行って来い」

 

 俺の返事にオッサンはやけに顔を近づけて、俺達の勘違いを訂正してきた。

 

「だーれが今っつたんだよ? 明日だ明日。草野球だっつの」

「明日? 明日は、あー渚?」

「えっと、わ、わたしなら大丈夫です。はい」

 

 明日はせっかくの日曜日だ。俺は渚とデートでもしないかとさっき話してたんだが……

 

「なんだなんだぁ? 二人で目配せなんかしやがって。アイコンタクトってやつかぁ? 通じ合ってるぜ! とでもいうのかぁ?」

「とても仲良しですねっ!」

「ふんっ! まっだまだだな。渚とは俺様が一番通じ合ってんだよ小僧。わかったらパンダのように死ぬ気で働け。

 その間、俺はずっっと渚とみつめあっててやるぜ!」

「ずっとみつめあったりなんかしませんっ! それにわたしは朋也くんの方がいいですっ!」

 

 渚、おまえ実の親の前でなんてゆー恥ずかしいことを。

 

「なんだとぉーぅ! この小僧の方が俺様よりいいっていうのかぁ!」

「ラブラブですねっ!」

「ジェーーラシーーーーッッ!! 俺は愛されていないってゆーのかぁー!」

「わたしは、秋生さんが大好きですよ」

「早苗、俺もだ」

「はい!」

「……おめーら邪魔だ。どっか行け」

 

 人に店番頼んでおいてこのオッサンは。

 

「そーかい。んじゃそーいうことで」

 

 俺が身につけていたエプロンに手をかけると、

 

「待て待て、明日のことだ。やれ。相手にはもうやるって言っちまったんだ」

「またアンタは。店はどうすんだ?」

「もちろん臨時休業だ。早苗、渚、お前らも来い。早苗は応援、渚は参加だ」

「はいっ。お弁当を用意しますねっ」

「わかりました。……朋也くん、明日は一緒に野球をしませんか?」

「ああ、わかったよ。オッサン、俺も参加だ」

「いよっし! 残りのメンバーにも声かけておけよ」

「ああ……ってちょっと待てオッサン! まだ集めてねーのかよ?」

「もちろんだ」

「誰も?」

「お前らには話した」

「まだまだ足りねーよ!」

「なんとかしろ。小僧、お前の知り合いで集めな。相手も学生だからな」

「まったく。おい渚、出かけるぞ。人集めだ」

「以前、一緒に野球をしたみなさんですか?」

「そうだ、あいつらならなんとかなんだろ」

「はいっ! お出かけです。えへへっ」

「店のことはまかせな。行ってかましてこい! コスモ!!」

 

 また名前変わってるよ。

 

 

 

「秋生さん」

「んー、なんだ早苗」

「渚、楽しそうでしたね」

「ああ」

「渚が楽しそうにしていると、とても嬉しいです」

「ああ、俺もだ」

「秋生さんと渚と、後、岡崎さんも。これからも楽しく暮らしていきましょうねっ!」

「ああ、ってオイオイ小僧もか?」

「はいっ!」

「……ちっ、しゃーねーか。あいつは渚のお気に入りだからな」

「これからも家族として、みんな一緒に」

「ああ、家族で力を合わせて……ってそれは待て! 待て待て待て! 早い! 早いぞ早苗! まだ学生だぞ! 渚はやらんぞ!?」

「でも、私は渚ぐらいの年の時、もう秋生さんとのことを考えていましたよ?」

「ぐあぁぁぁー! 渚ぁーー! 俺はぁーー! 俺はぁぁーーーーーーぁ!!」

「はいはい、そろそろエプロンつけてくださいね? 秋生さん?」

 

 

 

 

 俺と渚はまず学生寮に向かって歩いていた。

 確実に暇しているやつがそこに生息しているからだ。

 

「お電話せずに、突然お邪魔しても迷惑ではないでしょうか?」

「気にすんな。あいつなら寝てるか、アホな音楽聴いているか、ラグビー部ともつれ合っているかだ」

「ラグビー部の方たちと仲良しなんですか?」

「ああ、あいつは○モだからな」

「ええっ!? そうなんですか!? ってもう騙されませんっ! 前にひどい目にあいました」

「あー、そんなこともあったな」

「朋也くん、いじわるです」

 

 仕方ないだろう。渚を弄る事は、もはや俺のライフワークでもあるのだから。

 そんなことを話しつつも、だいぶ目的地に近づいてきた。

 そんな時、

 

「岡崎じゃないか」

 

 背後から声をかけられた。

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